産経抄

12月17日

 江戸時代中期の政治家、田沼意次は、今年生誕300年を迎えた。10代将軍・家治に重用され、幕府の実権を握ると、商業を重視して財政改革に取り組んだ。ただ役人と商人の癒着が目に余り、不正やわいろが横行するようになる。

 ▼意次の失脚後、権力の座についた松平定信は、倹約を奨励して乱れた風紀を取り締まった。もっともいわゆる「寛政の改革」に、江戸の庶民は次第に息苦しさを覚えるようになる。田沼時代を懐かしむこんな落首まで詠まれた。「白河の清きに魚の住みかねて もとの濁りの田沼こいしき」。