産経抄

12月18日

 没後86年を経ても、詩人・童話作家の宮沢賢治の文名は上がるばかりである。昨年、直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』は、あえて父親の政次郎(まさじろう)にスポットを当てていた。

 ▼作者の門井(かどい)慶喜さんによると、執筆のきっかけは、息子に買い与えた賢治の伝記マンガだった。賢治が7歳で赤痢にかかったとき、感染の危険も顧みずに看病するエピソードにひかれたという。政次郎から見れば、賢治はダメ息子だった。その息子に対する尋常ではない愛情を感じたからだ。