産経抄

12月26日

 文献に残っている限り、日本で最初に収賄の疑いをかけられた政治家は、大伴金村という人物である。『日本書紀』に「大伴大連(おおむらじ)…百済(くだら)の賄(まいない)を受けたり」という記述がある。6世紀のはじめ、朝鮮半島を舞台とするスキャンダルだった。

 ▼高句麗(こうくり)によって国土の北半分を失った百済が、大和朝廷の半島における拠点だった任那(みまな)四県の割譲を求めてきた。大連という現在の首相のポストにいた大伴金村が、それを認める代わりに、巨額の賄賂を受け取ったというのである。