産経抄

12月31日

 作家の幸田文に、「些細なつらぬき」と題した随筆作品がある。他人から見れば、とるに足らないことでもいい。一生かけて守り続ければ、自分にとって大きな力になる、と説いている。

 ▼幸田文が14歳のころから心がけてきたのは、「ふきんをきたなくしておかないこと」だった。原稿用紙にして1枚半にも満たない随筆である。それでも孫の青木奈緒さんによれば、幸田文を知らない人に一編だけ紹介するとしたら、迷わず選ぶ作品だ。