産経抄

1月8日

 江戸時代、幕府は全国53カ所に関所を設けていた。とりわけ取り調べが厳しかったのが、箱根関所である。もっとも抜け穴はあったようだ。歴史家の金森敦子さんによると、「江戸の庶民はドキドキハラハラしながら、地元の人に手引きされ、関所を抜けていた」。

 ▼たとえば幕末に箱根を越えたある女性が旅日記に、「お関所案内 百文」と記している。これは関所に懇意な旅籠(はたご)に渡した心付けだった。旅籠に調べはすでに済ませていると関所に報告してもらうと、駕籠(かご)に乗ったまま通ることができた(『関所抜け 江戸の女たちの冒険』)。