産経抄

1月23日

 ナチスの迫害から逃れて日本にやってきたドイツの建築家、ブルーノ・タウトが秋田県横手市を訪れたのは、昭和11(1936)年の冬だった。真っ白な雪を積み上げたかまくらが立ち並ぶ、幻想的な風景にタウトは魅せられた。

 ▼かまくらの中に入っていくと、子供たちが甘酒をすすめてくれる。「雪中の静かな祝祭だ」「ここにも美しい日本がある」(『日本美の再発見』)。タウトの発信のおかげで、桂離宮や伊勢神宮とともに、かまくらの魅力が世界に広まった。