産経抄

2月4日

 ドイツ文学者の池内紀(おさむ)さんが、『藤沢周平と豊島園』と題したエッセーを書いている。東京西部の練馬区にある遊園地「としまえん」近くの住宅街を訪ねると、生け垣がめぐらせてあった。その木は、ヒイラギ、ヒバ、ツゲなどである。

 ▼生け垣ごしに小さな菜園がのぞいていて、当主らしい老人が草むしりをしている。時代小説ファンならもうおわかりだろう。藤沢さんが小説の舞台としてきた、海坂藩の風景そのものではないか、と池内さんはいう。