産経抄

2月14日

 若き日の野口英世がペスト菌の横浜上陸を阻止したエピソードを先週紹介した。野口の恩師である北里柴三郎は1894(明治27)年、最初にペストが大流行した香港に赴いて調査研究を行っている。

 ▼北里に同行していた医学者の青山胤通(たねみち)は患者の治療にあたるうちに、自らペストに感染してしまう。からくも一命をとりとめたニュースは、日本と香港の両方で大きく報じられた。香港の市民は青山の徳をたたえて、中心部の通りを「青山道」と名付けたという。