産経抄

2月24日

 比較文化研究者、芳賀徹(はが・とおる)さんの代表作の一つ『絵画の領分』のきっかけとなったのは、恩師の一言だった。旧制高校以来師事する、ドイツ文学者の竹山道雄さんを囲む研究会が、昭和36年の夏、鎌倉で行われた。「あれは面白いものですな」。竹山さんが何げなく話題にしたのが、明治初期の洋画家、高橋由一(ゆいち)である。

 ▼当時ほとんど評価されなかった画家の調査にのめりこみ、学者人生をスタートさせた。研究会には、芳賀さんのほか、平川祐弘(すけひろ)さん、高階秀爾(たかしな・しゅうじ)さん、本間長世(ながよ)さんの姿もあった。後にそれぞれの分野で大家となる豪華な顔ぶれである。