産経抄

2月27日

 91歳で亡くなったエジプトの元大統領、ホスニ・ムバラク氏の姿を身近に見る機会が一度だけあった。1997年11月、南部ルクソールの観光地、ハトシェプスト女王葬祭殿で取材中のことだ。イスラム過激派の武装グループの襲撃により、日本人観光客10人を含む62人の命が奪われた惨劇から一夜明けていた。

 ▼現場を視察に訪れたムバラク氏は、全力を挙げてテロ防止に取り組む姿勢を表明していた。がっしりした体と鋭い眼光が印象的だった。神殿の壁には血痕が生々しく残ったままにもかかわらず、観光客を迎え入れていることにも驚いた。