産経抄

3月13日

 甲子園の土を最初に持ち帰ったのは誰か。その一人とされるのは、プロ野球巨人の監督として9連覇を成し遂げた川上哲治さんである。昭和12年夏の大会の決勝で敗れた熊本工業のエースだった。グラウンドの土を靴下に入れ、熊本市の練習場にまいた。

 ▼もっとも現在のように敗れたチームが、集団で持ち帰るようになったのは、戦後になってかららしい。復活したばかりの21年の大会は、西宮球場で行われた。初出場の東京高等師範学校付属中学は、準決勝で大敗する。