産経抄

3月27日

 国内の労働者の3分の1が失業していた。F・ルーズベルトはそんな大恐慌の最中、米国の大統領に就任した。最初の仕事は、全国の銀行の「休業宣言」である。「友人のみなさん」。1週間後、大統領はラジオを通して、国民に語りかけた。

 ▼「明日から銀行が再開されます。銀行にお金を預ける方が、マットの下に隠しておくより安全ですよ」。やさしい言葉を選んで、経済再建のために協力を訴えた。まるで暖炉のそばで聞いているような温かみが、国民の心に響いたことから、「炉辺談話」と呼ばれた(『フランクリン・ルーズベルト伝』R・フリードマン著)。