産経抄

5月6日

 今月14日は「種痘記念日」である。1796年のこの日に、英国の医学者、エドワード・ジェンナーが行った実験に由来する。当時、死亡率の高い天然痘は悪魔の病気として恐れられていた。ただし酪農の従事者だけは、かかっても軽症で済んでいた。

 ▼ジェンナーは、牛の天然痘のウイルスを健康な人に接種、つまり種痘を試みた。その結果、人間の天然痘に対して予防効果があることを確かめた。免疫をつくり出すワクチンの始まりである。雌牛を意味するラテン語のvacca(ワッカ)が、ワクチンの語源となった。ジェンナーと、実験に協力した牛に敬意を表したものだ。