産経抄

5月22日

 2年前に直木賞候補となった『傍流の記者』(新潮社)は、全国紙の社会部が舞台になっている。いわゆる「夜討ち朝駆け」やスクープ合戦など、記者の実態がリアルに描かれている。著者の本城雅人さんは、小紙とサンケイスポーツで約20年間、記者生活を送っているから当然だった。

 ▼社会部同期2人のこんな会話が胸に刺さる。「人は情報を求めているのだから、黙っていてもみんな新聞を読むなんて思っているとしたら、今のメディアに対する国民の認識をまったく理解していない」「むしろ今の新聞は、社会への影響力がまったくなくなったと言ってもいいくらいだ」。現場を離れた本城さんは、新聞の危機を冷静に見つめている。