産経抄

6月10日

 「プッタネスカ」というイタリア料理がある。アンチョビーやオリーブの実などが入ったトマトソースのスパゲティだ。日本語にすると「娼婦(しょうふ)風」。ナポリの娼婦が客をもてなすために作っていた。日本の感覚ではおふくろの味と名付けたい。料理の名前にもお国柄が出る。

 ▼蒸し暑い日が続くと「カルパッチョ」の出番となる。刺し身にドレッシングをかけた涼しげな一品だ。15世紀末に活躍したベネチア出身の画家の名前に由来するとは、昨日の国際面のコラムで初めて知った。筆者の坂本鉄男さんによると、もともとは牛の生肉の料理、赤身と皿の白さのコントラストが、画家の色使いに似ていた。