産経抄

6月13日

 「人は身体の内でも、外でも、共生と葛藤を繰り返しながら生きている」。作家、上橋菜穂子さんは獣が媒介する謎の感染症との戦いを描いた医療ファンタジー小説『鹿の王』のあとがきに、こう書いている。感染症は根絶できない以上、人的被害を最小化しながら共生するしかないといわれる。

 ▼確かに、人類と感染症との付き合いは長く、その種類もペスト、天然痘、コレラ、結核、風疹、インフルエンザ…と思いつくだけでいくつもある。病の性質によって比較的封じ込めやすいものもあれば、インフルエンザのように毎年流行するものもある。