産経抄

7月5日

 日清戦争に敗れた中国清朝は、下関条約の中で日本への台湾割譲を約した。その際、交渉の全権を担った李鴻章がこう言い捨てたとされる。「台湾は、鳥語らず、花香らず…瘴癘(しょうれい)(疫病)の地。割くも可なりだ」。

 ▼民間に伝わる真偽不明の言葉として、ジャーナリストの野嶋剛氏が新著『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)の中で触れている。日本の領有当初から、コレラなど8種類が土着の疫病として居座っていた。腫れ物のような島だったらしい。