産経抄

7月12日

 雨や風のあるなしは、農村や漁村の暮らし向きを左右した。例えば、三重県には「節の西風、雨でそろ」のことわざがある。「節」は田植えの時期で、その頃に吹く西風は雨をもたらす使者として喜ばれたという。

 ▼方言として残る雨風の言葉は、強弱や乾湿の細かな違いを捉えており、俳句の季語に劣らぬ感度のよさがある。文芸評論家の山本健吉は「言葉をつくる能力においては、文人・雅客の風流心よりも民衆の生活上の必要を信用する」と書いた(『ことばの歳時記』)。