産経抄

7月17日

 本日の紙面は将棋の高校生棋士、藤井聡太新棋聖(17)のニュースで持ち切りであろう。なにしろ史上最年少でのタイトル獲得である。ただコラムではあえて「最高齢」を話題にしたい。

 ▼今月13日、作家の久木綾子さんが100歳の大往生を遂げた。『見残しの塔』(文春文庫)で平成20年にデビューを果たしたとき、すでに89歳の卒寿を迎えていた。室町中期を舞台にした歴史長編は、「人は流転し、消え失せ、跡に塔が残った」という一文で始まる。宮大工をめざして九州の隠れ里を出奔する若者や新田義貞ゆかりのお姫様ら多くの登場人物の人生模様が複雑に絡み合い、五重塔建設というクライマックスに突き進んでいく。