「ひふみん」こと将棋の加藤一二三九段が昔日の対局で長考した。序盤も序盤の6手目である。何をそんなに。相手は首を傾(かし)げた。加藤九段、後に真面目な顔で語ったという。「気力が充実するのを待っていた」。
▼およそ合理性のみを追う人工知能(AI)に、このセリフは言えまい。いまや突出した個性が人気の「ひふみん」だが、かつては14歳でプロ棋士になり、「神武以来(このかた)の天才」とうたわれた。風雪の中で磨かれ、棋士としてタレントとして異能を開花させた人である。
「ひふみん」こと将棋の加藤一二三九段が昔日の対局で長考した。序盤も序盤の6手目である。何をそんなに。相手は首を傾(かし)げた。加藤九段、後に真面目な顔で語ったという。「気力が充実するのを待っていた」。
▼およそ合理性のみを追う人工知能(AI)に、このセリフは言えまい。いまや突出した個性が人気の「ひふみん」だが、かつては14歳でプロ棋士になり、「神武以来(このかた)の天才」とうたわれた。風雪の中で磨かれ、棋士としてタレントとして異能を開花させた人である。