産経抄

7月21日

 「ヘッヘッヘ…うなとなぞは、あたくしまた久しくあれにはお目にかかりません…ぜひお供を」。たいこもちの一八がウナギをおごってもらうつもりが、反対に勘定を押し付けられる。落語の『鰻(うなぎ)の幇間(たいこ)』である。

 ▼海千山千の一八がなぜ、簡単にだまされたのか。「不幸だったのは、ときあたかも土用であったことである」。演芸評論家の矢野誠一さんは指摘する。土用の日盛りの町でようやく捕まえた相手に、「どうでえ、ウナギを食うかい」と持ちかけられたら、ひとたまりもない(『落語食譜』)。