産経抄

8月28日

 9年前の夏といえば、明治生まれの童謡詩人、金子みすゞのブームが続いていた。東日本大震災の発生直後からACジャパンのCMで朗読された、「こだまでしょうか」という作品の影響である。

 ▼「『遊ぼう』っていうと『遊ぼう』っていう。『馬鹿』っていうと『馬鹿』っていう」。多くの日本人はこの詩を繰り返し聞くうちに、被災者の悲しみを自分のこととして受け止め、励ましの声を送り返そうとした。