産経抄

8月30日

 立川談志さんが入退院を繰り返した時期に書いている。〈「健康」とは、落語を演(や)るための“手段”である。それが現在(いま)じゃ、“目的”になっちまっている〉。腹立たしい、と(梧桐書院『談志最後の根多(ねた)帳』)。

 ▼新型コロナウイルスに窮屈な暮らしを強いられ、連日の猛暑に鋭気をくじかれたこの夏である。何をするにもマスクで口元を覆う習慣が体に染みつくと、「自分は病んでいるのでは」という疑念がわいてくる。談志さんの嘆きに、共感の一票を入れる人は多かろう。