大正9年のウィンブルドン準決勝。「世界の庭球王」と呼ばれる米国のチルデンがラリー中に体勢を崩すと、相手の清水善造はあえて打ちやすいボールを送った。「やわらかなボール」として知られる「美談」は清水本人によって否定されている。
▼こちらは美談どころか、世界中のテニスファンがテレビの画面で目撃した醜悪なシーンだった。ニューヨークで開催中の全米オープン男子シングルスの4回戦。世界ランキング1位のジョコビッチは自分のプレーにいら立ち、背後の壁に向かって打ったボールが線審の女性の首元に当たった。優勝候補の筆頭がまさかの失格である。