産経抄

9月25日

 フランスを代表するシャンソン歌手、ジュリエット・グレコさんの自伝『グレコ 恋はいのち』には、日本滞在中のスナップもいくつか収められている。きちんと正座して、琴の音色に耳を傾けている姿が何ともほほえましい写真もあった。持ち歌のひとつである「枯葉」の演奏だったようだ。

 ▼昭和36(1961)年の初来日、眠っているような静かな聴衆を前に、公演の大失敗を覚悟した。ところがリサイタルの終わりには全員が立ち上がり、拍手が止まらなくなる。日本人の内に秘めた熱情を実感した瞬間だった。