産経抄

10月1日

 米国独立戦争は、税金をきっかけに始まった。元国税調査官の大村大次郎さんによると、英国の植民地時代、ほとんど税金が課せられなかった。当時は金などの鉱脈の発見はなく、貴重な香料が採れるわけでもない。無税にして経済の発展を促そうとした。

 ▼財政悪化に伴い英政府は方針転換を図るが、抵抗は強かった。そこで国策会社である東インド会社の茶を独占的に売りつけ、税負担の代わりにしようとした。怒った住民がボストン港で大量の茶を海に投げ入れた。これが「ボストン茶会事件」である(『脱税の世界史』宝島社)。