産経抄

10月11日

 飼い犬のお供をする朝の散歩道に、とりどりの木が植わった緑道がある。この季節は、マスク越しにふわりと鼻をくすぐる香りによく出合う。十字にほどけた金木犀(きんもくせい)の花が房をなし、辺りに漂わす秋の香りである。

 ▼近づくほどに芳香は遠ざかり、数歩下がるとまた鼻の周りを訪ねてくる。香気がいくつかの塊となり、群れる空間があるらしい。くさぐさの花は色や形で人々の目を楽しませ、季節の移ろいを教える。それらとは一線を画し、わが道を行く花と言えるかもしれない。