産経抄

10月19日

 同僚には歴史小説、時代小説のファンも多い。何かお薦めの一冊は?と聞いて教えられたのが、伊東潤さん著『城をひとつ』(新潮文庫)だ。すでにお読みの方も多いと思うが、遅まきながら手に取った。戦国時代、北条氏を支えた謎の軍師一族を5代にわたって描く。

 ▼冒頭、「城をひとつ、お取りすればよろしいか」と始まり江戸城攻略などの物語が進んでいく。おもしろいのは、合戦で城を奪うのではなく、商人や僧、医者などに化け敵の懐に入り、現代でいえばインテリジェンスを駆使して、戦わずして奪う。