産経抄

10月27日

 「どうして『こうのとりのゆりかご』(赤ちゃんポスト)をつくったのか」。熊本市の慈恵病院理事長、蓮田太二(はすだたいじ)さんは何度も同じ質問を受けてきた。きっかけとなったのは、ドイツで視察した「ベビークラッペ」という仕組みである。

 ▼幼稚園のレンガの壁に取り付けられた扉を開くと、温められたベッドがある。赤ちゃんが置かれるとスタッフが駆けつけて保護する。実親が引き取りにこなければ、養父母のもとで育つことになる。帰国後、熊本県内で新生児の遺棄事件が3件続けて起き、うち2人が死亡した。「赤ちゃんの命を救う手立てがあるのなら、産婦人科医として、傍観しているわけにはいかない」。取材の度にこう答えてきた。