産経抄

10月28日

 森に生きる動物たちにとって、秋になって地面に落ちたドングリ(ブナ、ミズナラなどの実)は大切なごちそうである。その一部は巣穴や土の中に蓄えられて冬の間の食料となるが、食べ残しも出る。それが翌春に発芽して若木へと成長する。

 ▼子孫を残すための、ドングリならではの戦略である。ただし、動物の数が増えすぎると、食べつくされてしまう。絵本の『どんぐりかいぎ』(こうやすすむ・文、片山健・絵、福音館書店)は、それを防ぐための仕組みを上手に説明している。