産経抄

11月10日

 昭和56年に放映された名作ドラマ「北の国から」にこんなシーンがあった。主人公の五郎の一家は、東京から北海道の富良野に移り住んで初めての冬を迎える。「寒くてやってられませんよ」。

 ▼丸太小屋の2階に寝起きしている長男の純が文句を言っても、五郎は取り合わない。ある日クギを打つ音を耳にした五郎が2階に上がってみると、純ではなく小学2年の妹、蛍の姿があった。健気(けなげ)にもたった一人で壁にビニールシートを張り、隙間風を防ごうとしていた。