産経抄

11月11日

 米大統領選で当選を確実にした民主党候補、バイデン前副大統領(77)は、選挙戦終盤の10月初旬、ペンシルベニア州ゲティズバーグを演説の場に選んだ。南北戦争の激戦地であり、第16代大統領リンカーンが歴史的な名演説を行った地としても知られる。もっともバイデン氏が引用したのは、有名な「人民の人民による人民のための政治」ではない。

 ▼別の演説にある「分かれたる家は立つこと能(あた)わず」である。大統領に就任する3年前の1858年、奴隷制をめぐって対立は激しくなるばかりだった。リンカーンは共和党の集会で、聖書の一節を引いて連邦瓦解(がかい)を阻止する決意を語った(『リンカーン演説集』高木八尺・斎藤光訳、岩波文庫)。