産経抄

11月13日

 東北地方の山間で昔から行われてきた狩猟には、熊犬と呼ばれる猟犬が欠かせない。戸川幸夫さんの動物小説『熊犬物語』によると、気が強いだけでは務まらない。

 ▼主人公のシロは、初めての狩りで無謀にもクマに飛びかかり、大きな手のひらでたたき落とされて、危うく死を免れる。犬は肉体的にはクマに勝てない。頭脳で戦うしかない。そのために必要な勇気と警戒心を備えさせるために、猟師は厳しい訓練を行う。