産経抄

11月16日

 上方歌舞伎の再興に尽くし88歳で亡くなった人間国宝、坂田藤十郎さんは、子供の頃、「実は歌舞伎にあまり興味がなかった」と意外なエピソードを明かしている。平成25年の新歌舞伎座(東京)開場に際し、本紙「話の肖像画」で亀岡典子編集委員のインタビューに答えていた。

 ▼「扇雀(当時の芸名)にせりふを言わしたらあかん」と言われたこともある。歌舞伎にのめり込むようになったのは18歳のとき、演劇評論家の武智鉄二さんとの出会いがきっかけだった。京舞や文楽など古典芸能の超一流の師匠にマンツーマンで教えてもらう機会を持たせてくれた。「私の演技や考え方の基盤は、ほとんどすべてこの時に学んだ」と振り返っている。