占星術が世の中を動かすことは珍しくない。寛和2(986)年夏である。
▼夜空に、近づきつつある2つの星が見られた。天体の接近は「犯」と呼ばれ、凶事の兆しとして忌み嫌われたという。ときの帝(みかど)に「星のお告げあり」と退位を迫ったのは、政敵の藤原兼家だった。帝を出家させた兼家は、自分の孫を一条天皇として擁立した。はやり病がまだ、もののけの仕業と恐れられた時代である。
占星術が世の中を動かすことは珍しくない。寛和2(986)年夏である。
▼夜空に、近づきつつある2つの星が見られた。天体の接近は「犯」と呼ばれ、凶事の兆しとして忌み嫌われたという。ときの帝(みかど)に「星のお告げあり」と退位を迫ったのは、政敵の藤原兼家だった。帝を出家させた兼家は、自分の孫を一条天皇として擁立した。はやり病がまだ、もののけの仕業と恐れられた時代である。