産経抄

12月27日

 歳末の買い出しで訪れた近所の量販店に、ケーキが並んでいた。売れ残りなのか、どれも値引きされ、売り場は混み合っている。その中で長い間、思案顔をする親子がいた。手を引く小さな男の子に「ほら、円いケーキだね」と母親が語り掛けた。

 ▼「ほんとだね。ちょっと安いね」とは男の子である。「これ買おうね」「いいの? 円いケーキだよ?」。そんな会話が聞こえてきた。家族構成も家庭の事情も知らない。小さく切り分けた一片が、男の子の普段目にする「ケーキ」だということは何となく分かる。