産経抄

12月30日

 『氷点』や『塩狩峠』などで知られる作家の三浦綾子さんは、77年の生涯のほとんどを出身地の北海道旭川市で過ごした。「旭川のよさは?」と聞かれるたびに、「骨までしみとおるような寒さ」と答えてきた。

 ▼「長い冬の中で、人々は耐えるということを学ぶ」。「しかも…そこには、春を『待つ』という…希望がある」(『旭川とわたし』)。今年の旭川の冬は「希望」どころではない。厳しい寒さに加えて、コロナ禍がもたらした医療崩壊が市民生活を脅かしている。