産経抄

12月31日

 歳時記をめくると、この時節は日記にまつわる季語が多く目に留まる。「古日記」や「日記果つ」には、行く年を惜しむ感傷がにじんで味わい深い。次の1冊が必要になるわけで、「日記買ふ」もまた季語である。

 ▼使い古した3年手帳がきょうで終わる。東京五輪をしおに、仕事も気持ちも一区切り-。人生の里程標にするつもりで、まだ平成の時分に買ったものである。コロナ禍でこの1年の予定はあらかた狂い、「日記果つ」にはほど遠い、余白だらけのお役御免となった。