産経抄

1月21日

 新型コロナウイルスの封じ込めに成功している台湾への称賛の声は高まるばかりである。同時に日本の統治下、児玉源太郎総督のもとで、民政長官として日本の衛生行政制度を導入した後藤新平の存在も改めて注目されてきた。

 ▼後藤の事績にくわしい渡辺利夫拓殖大学前総長は昨年3月の正論欄で、後藤と児玉がコンビを組むきっかけとなったプロジェクトに言及していた。日清戦争後に凱旋(がいせん)した23万人に及ぶ兵士に対して行った検疫事業である。戦地ではコレラが大流行していた。陸軍次官の児玉から全権を委任された後藤は、わずか2カ月で前代未聞の難事業を成し遂げる。