「延々と事情を説明してくださいと言ってません」「総理はこの期に及んでもだらだら言い訳」。ともに立憲民主党の辻元清美副代表がかつて、安倍晋三前首相の国会答弁にぶつけた言葉だが、野党はその時代を懐かしむのか。今度は、菅義偉首相の答弁があまりに簡潔すぎると言い出した。
▼国会中継を見ながら、こう考えた。説明に努めれば角が立つ。簡略に棹(さお)させば怒られる。意地を通せば休会だ。とかくに首相はやりにくい-。夏目漱石の『草枕』の下手なもじりとなったが、政治家、とりわけ言葉の力が誰よりも問われる首相は大変である。