産経抄

2月7日

 よい取り合わせのたとえとして、「松に鶴」「牡丹(ぼたん)に蝶(ちょう)」などという。暦の上で春が立ち、各地から梅の便りが届き始めるこの時節は「梅に鶯(うぐいす)」も思い浮かぶ。〈うぐひすや梅にとまるは昔から〉と詠んだのは、江戸中期の俳人、上島鬼貫だった。

 ▼「初鳴き」は春先にさえずる「ホーホケキョ」の第一声を指す。恋の季節を迎え、異性への思いを乗せた求愛の歌である。またの名を「春告(はるつげ)鳥」「花見鳥」ともいう。日本人の歌心、詩情を育んできた鳥だろう。早いところでは、初鳴きが耳に届く頃かもしれない。