産経抄

2月21日

 「官庁の中の官庁」と呼ばれる大蔵省(現財務省)で、財政金融の「素人」を自任する政治家が蔵相になった。就任演説がいまに伝わる。「私が田中角栄だ。尋常小学校高等科卒業である」。昭和37年の夏だった。

 ▼目の前にした官僚たちの多くは日本の最高学府、東大の門をくぐった俊秀だが、田中はお構いなしに続けたという。「トゲの多い門松をたくさんくぐってきて、いささか仕事のコツを知っている」(『田中角栄100の言葉』)。後に首相となる人の前日譚(たん)である。