産経抄

3月9日

 故高倉健さんの遺作となった映画「あなたへ」での役は、刑務所の指導技官だった。受刑者に木工を教えて、社会復帰の手助けをする。ロケ地となった富山市の富山刑務所では上映会が行われた。「あなたにとって大切な人のところへ帰って行ってあげてください」。健さんが言葉をかけると、涙を拭う受刑者の姿が見られた。

 ▼実は健さんは30年近く、刑務所の慰問活動を続けていた。きっかけとなったのは、昭和52年に公開された「幸福の黄色いハンカチ」である。健さんが演じる元受刑者は、風にはためく黄色いハンカチを見て、妻が出所を待ってくれていたことを知る。