産経抄

3月14日

 東京やその近辺で育った人が、関西に来て首をひねるのが「けーへん、きーひん、こーへん」だという。「なんぼ待ってもけーへん(いくら待っても来ない)」。大阪周辺にお住まいの方なら、耳に口になじんだ表現だろう。

 ▼京都なら「きーひん」、神戸から西は「こーへん」となる。「来ない」の意味を保ちながら、現代に受け継がれているのがおもしろい。京都ゆえか「きーひん」の語感に気品が漂うのは偶然として、各地の地味(ちみ)に合わせて根を下ろし、枝葉を広げる言葉の生命力にはたくましさを覚える。