産経抄

3月16日

 「花疲れ」という言葉がある。花見に出かけて、人混みに酔ってしまう。あるいは花見酒を飲みすぎる。あれやこれやで、くたびれはてた状態をいう。

 ▼昭和の俳人、鈴木真砂女(まさじょ)に「坐(すわ)りたるまゝ帯とくや花疲れ」の句があるように、春の季語である。各地から桜開花の便りが届く、花見の季節が今年もやってきた。ただ、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐという観点からすれば、花疲れははなはだよろしくない。