産経抄

3月25日

 「地獄の底をフラフラ歩いているような感覚である」。「平成の三四郎」と称された古賀稔彦(としひこ)さんが、自伝で振り返る。1992年のバルセロナ五輪男子柔道71キロ級の決勝戦。審判の判定を待っていた。

 ▼練習中に左ひざを負傷したのは試合の10日前である。歩くこともできないのに、5キロの減量が必要だった。残された手段は、食事と水を制限するしかない。最後の3日間は痛みと空腹で眠れなかった。