産経抄

3月28日

 記者としての初任地は四国だった。発令日の前夜、大阪での研修を終えて支局長に電話を入れた。明日の昼前には着きます-。言い終わらぬうちに、怒鳴り声が返ってきた。「違う、違う。出勤は9時だろう。君の職場は明日からここなんだぞ」。

 ▼剣幕(けんまく)に震え上がり、翌日は急(せ)かされるようにして払暁の大阪を発(た)った。記者としての苦い第一歩である。門出に中途半端な折り目をつけるなよ。怒声の裏にある教えに気づいたのは、後になってからだった。30年近くがたったいまも、花の盛りを迎えると思い出す。