産経抄

3月31日

 ジェノサイド(民族大量虐殺)は、ポーランド系ユダヤ人の弁護士、ラファエル・レムキンによる造語である。ギリシャ語の「genos」(部族ないし人種)とラテン語の「cide」(殺人)を組み合わせた。

 ▼レムキンは、第二次大戦でナチス・ドイツに占領された地域での、ユダヤ人迫害の記録を調べ上げていた。亡命先の米国で執筆した『枢軸国の支配』のなかで、この言葉を初めて使った。1944年に本が刊行されてまもなく、連合軍による強制収容所の解放が相次ぐようになり、まさしくジェノサイドの実態が明らかになる(『ニュルンベルク合流』フィリップ・サンズ著)。