産経抄

4月11日

 見た目が特異な魚ゆえに伝承は多い。漁港に持ち帰れば「祟(たた)りあり」とされ、この魚の泳ぐところに「カツオの群れあり」とも言われた。侵すべからざる魚かといえば、そうでもない。肝油は「飲めば胃薬、塗れば傷薬」と庶民も重宝したらしい。

 ▼中国由来の名は「翻車魚」。マンボウである。先の伝承は農学博士、沢井悦郎さんの『マンボウのひみつ』に教わった。和歌山市立博物館で展示中の江戸末期とみられる木版画には、「疫病除ケ」「満方」の添え書きとともに、マンボウらしき怪魚が描かれている。