産経抄

4月16日

 「アフガニスタンに行ってきましたね」。名探偵シャーロック・ホームズは、後にコンビを組むワトソン博士の正体を初対面で見抜く。種明かしはこうだ。医者でありながら、軍人っぽい。左腕を負傷し、やつれた顔をしている。英国の軍医が塗炭の苦しみをなめた地といえば、アフガンしかない(『緋色(ひいろ)の研究』角川文庫)。

 ▼確かにワトソン軍医は、19世紀末の第2次アフガン戦争に従軍して、瀕死(ひんし)の重傷を負っている。作者のコナン・ドイルは、戦地の悲惨な状況を伝え聞いたに違いない。1979年にアフガンに侵攻したソ連もまた、散々な目に遭って10年後に撤退を余儀なくされる。